2020年 5月 13日

小社代表の岩根順子と「淡海文庫」などが朝日新聞デジタルで紹介されました【引用者註付き】

 
▼「淡海文庫」発刊続けるサンライズ出版社長
 
■近江の文化、書籍に残す
 
 1930(昭和5)年の創業以来90年、彦根市に拠点を置き、県内の文化や歴史、自然環境などにこだわった出版を続ける「サンライズ出版」。先代の父豊秀さん(故人)が鳥居本町で、印刷業「サンライズスタヂオ」を開いたのが、出版社の前身だ。
 
 なかでも「淡海(おうみ)文庫」は94年4月の創刊以来、毎月3冊【引用者註1】を目標に発刊している。「近江は都から近い湖という中央の視点の言葉。自らの熱いメッセージを滋賀の視点から届けるという意味で淡海としました」
 
 岩根さんによると、豊秀さんは画家を目指していたがかなわず、代わりに当時、流行した謄写版(ガリ版)印刷に興味を持った。
 
 謄写版は、国内では明治時代に現在の東近江市で開発された。蝋(ろう)を引いた紙に、鉄筆で文字や絵を書いてインクを流して印刷する方法。簡単なことから昭和時代まで、学校などで普及した。
 
 豊秀さんの繊細でモダンなデザインの謄写版は評判を呼び、企業の宣伝ポスターや年賀状にひっぱりだこになり、県内各地に営業活動を広げた。
 
 そうした中、岩根さんは高校卒業後、家業を手伝うように。76年ごろからは出版も手がけるようになった。とはいえ当初は、地域紙や個人誌などの個人出版や公共団体の出版物が中心だった。81年、豊秀さんが亡くなると、経営をすべて担うようになった。
 
 淡海文庫の立ち上げは、94年に県内の民俗学者・橋本鉄男さん(故人)の著書「柳田國男と近江」を出版した際、橋本さんから「近江の文化を発信する文庫を作るべきだ」と説得されたことがきっかけだ。この著書が第1号を飾った。【引用者註2】
 
 当時は近江商人が注目されており、出版は順調に進んだ。その後、城郭や戦国時代、石田三成などと地元を舞台とした歴史ものがブームを呼び、出版事業も波に乗ることができた。
 
 しかし著者に印税を支払うまではいかないという。「著者にも出版費用を一部、負担してもらっている。厳しい状況に変わりない」と現状を打ち明ける。
 
 その中で妹の治美さんも経営を支える。出版を取り巻く環境はインターネットの普及などで厳しさを増しているが、社員10人と共に「地方出版の文化を守る」という信念を持ち続ける。
 
 2015年には滋賀、県立両大学と「おうみ学術出版会」を結成した。近江にこだわった分かりやすい学術書を出版するのが目的だ。
 
 「紙は千年以上前のものも残っている。モノとしての書籍にこだわり、コアでも分かりやすいものを出版していく」。出版人としての情熱は衰えない。(朝日新聞デジタル2020/05/07
  
【引用者註】
 
1:正しくは、毎年3冊
2:正しくは、橋本鉄男著『輪ノ内の昔』(89年上巻、91年下巻、北船木史稿刊行会発行/非流通本)を制作した際に説得された。「淡海文庫」第1号は乾憲雄著『淡海の芭蕉句碑』上巻で、「別冊淡海文庫」第1号が『柳田國男と近江』(ともに94年発行)。詳しくは小社情報誌「Duet」vol.100 特集「自費出版あれこれ」参照。
 
【参 考】
 
淡海文庫(淡海文化を育てる会)について
詳しく
淡海文庫【1】淡海の芭蕉句碑(上)~【65】現代語訳 近江の説話
詳しく
別冊淡海文庫【1】柳田國男と近江~【27】朝鮮通信使と彦根
詳しく
おうみ学術出版会の本
詳しく
 

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