2005年 8月 30日

滋賀県とコペンハーゲンの人口はほぼ同じ

 最近読んだ本と聞いたCDをネタに以下。

 薬師院仁志著『英語を学べばバカになる』(光文社新書)。ちょっと古いな。読んだのは6月。著者は社会学者。

 地方出版に携わってる私たちが記憶に残る箇所は、第4章の初めあたり、見出しは「母語人口が少ないゆえの英語力」。日本がモデルにすべきとしてよく引き合いに出される、一般市民の多くが英語を話す国々に共通する特徴は、人口が非常に少ないこと。ノルウェーは457万人、フィンランドは519万人など。「ある規模より人口が少ない国は、母語だけでやってゆけない。書物にしても新聞や雑誌にしても放送や映画にしても、採算が取れないのである。」「日本で1万部売れた本でも、ノルウェーでは、わずか355部しか売れない計算になる。」「(母語による専門書の類の出版は不可能に近く)専門的な知識を身につけようと思えば、外国語ができなければ話にならない。」ディズニーのアニメ映画でも吹替版を製作するコストはなく、子どもたちはもとの英語版を見て育つ。

 著者の論は、1億3000万人規模の人口がある日本においては、これらの国々ほど英語に依存する必要はない(実際、日常生活で不便はない)という方向に進む。

 8月24日に発売されたデンマークの2人組、JUNIOR SENIORのセカンドアルバム『HEY HEY MY MY YO YO』の日本盤解説には「デンマークという国の高い文化水準を証明…」とあるけれども、ことはそう単純ではない。調べてみたら、デンマークの人口は約530万人(北海道より少ないぐらい)、首都で彼らが暮らすコペンハーゲンの人口が約140万人。ちょうど我が滋賀県(2005年7月1日現在、137万9148人)と同じぐらいだ。そりゃまぁ英語で歌うだろう。で、音楽的ルーツはアメリカであり、イギリスである。(大好きなんだけどネ)

 というわけで、購買対象になる人口の規模が小さいと、出版事業は厳しいということを改めて思ったのでした(よく滋賀県は人口増加率が高いとかいわれるけど、それは分母が小さいだけで気休めにもならん。増加率でなく増加数で比較して)。

4月にうちの会社(サンライズ出版)から出た『12歳から学ぶ滋賀県の歴史』はほぼ滋賀県内だけで7000部近く(8月末現在)売れていて、全国規模になおしたら約100倍(70万部)のベストセラーなんだけど。

コメントはまだありません

コメントはまだありません。

この投稿へのコメントの RSS フィード。

最近の記事

カテゴリー

ページの上部へ