2011年 9月 06日

MIHOMUSEUMの「神仏います近江」展、始まりました。

今年の1月に開催した「『近江の祈りと美』出版記念講演会」の時、
秋に滋賀県で最大級の展覧会が企画されていると聞いたのが、
「神仏います近江」展のことでした。
私立と県立と市立の3館が、それぞれテーマを分担して一堂に会する
という趣向といい、その出品点数といい、まぁ今回を逃したら、
次は10年後かどうかというぐらい、おびただしい神さま仏さまが
お出ましになる展覧会ということで、ずっと心待ちにしていました。

そして先陣を切って9月3日(土)から信楽のMIHOMUSEUM
「天台仏教への道」が開幕し、早速でかけました。
時折美術品の図録や書籍の仕事をしているとき、写真をお預かりして、
尊像や屏風、絵図を編集・校正作業などで見ているものの、
やはりこの目で本物を拝観するというのは、大きさや質感に驚くことが
しはしばあります。
書籍では寸法明記をしているはずでも、
実物を見ると「えー、こんなに小さかったのかぁ」とか、
その反対にあまりの巨大さに驚くということがしばしばあります。
 
今回の展覧会では、最初の「釈迦入滅」のコーナーで、
ずっとお出会いしたかった荒神山の中腹、
千手寺の僧形坐像さまに初めてお出会いしました。
38センチの小さなお方だとは存じていたのですが、
柔和なお顔と鼻筋の通った異国のお坊さまに、見とれてしまいました。
 
最初にボーッと見とれてしまうと、他の作品を見るのが
ついついおろそかになってしまうのですが、
次にくぎ付けになったのがMIHOMUSEUM所蔵の持国天立像さま。
どうしてもお顔に目がいくというか、整っておられるのです。
また細かな彩色も残っていて、アッチコッチから拝見。
元は興福寺に安置されていたとする説もあるとかというお方で、要チェックです。
 
パンフレットに掲載されていた栗東市善勝寺の千手観音さまは
1998年に「近江路の観音さま」でお出会いしたのですが、
左右に大きなお顔があるという三面千手さまです。
様々なバリエーションの仏さまがおられるというのも
近江のおもしろいところなのかもしれません。
 
そして、伊東先生が解説されていたのですが、
園城寺の不動明王さまが今回の「目玉」というか、
要チェックのお方だそうです。
実は後補の玉眼が全体の作風と合わないとのことで、
今回は紙を貼って当初の雰囲気を損なわないように
されたそうです。
また、2年前だったかの国宝三井寺展のときにはお顔が
正面を向いていたのだそうですが、
今回は少し右にお顔を振られたとのことです。

MIHOMUSEUMの会期は12月11日(日)と最も会期が長いのですが、
たとえば金剛輪寺の強面の大黒さまや(この方のことは
20年ほど前にご住職からお話を伺ったので、馴染み深いのですが)、
長く展示すると負荷のかかる絵図などは適宜展示替えされるので、
できれば複数回行かれることをお勧めします。

展覧会の図録は500頁以上の分厚いものですが、
でもこれで近江の神仏を網羅していると思ったら大間違いです。
滋賀県には国宝・重文・県指定の彫像だけで400以上もあるのですから……。

ということで、最後に宣伝させてくださいね。
滋賀県の秘仏や指定文化財一覧など、もっと深く知りたいと思われる方は
『近江の祈りと美』を是非御覧ください。
彫像200点以上と高梨純次氏の論考、滋賀県の指定文化財一覧表も
掲載していますので、仏像ファンには必携の一冊です。
MIHOMUSEUMのSHOPでもお買い求めいただけますので、
是非ご覧ください。

2件のコメント


  1. >たとえば金剛輪寺の強面の大黒さまや(この方のことは
    20年ほど前にご住職からお話を伺ったので、馴染み深いのですが)、
    長く展示すると負荷のかかる絵図などは適宜展示替えされるので、
    できれば複数回行かれることをお勧めします。
     

    そうなんですね!Σ ̄□ ̄;
    そうですよねーそりゃ長期間展示されていると少なからぬ負荷がかかりますよね。
    文化財の展示ってすごく気を使うんですね。やっぱり。
    心して拝見したいと思います。
     
    そうか~複数回…
    行けたらいいなあ。
     

    コメント by 近江っ娘。 — 2011年9月7日 @ 1:28 PM


  2. MIHO MUSEUMのHPに、展示一覧が掲載されています。
    5期に分けていて、やはり曼荼羅図や仏画は
    2週間位で替えられるようです。
     
    家から車で1時間半かかるから、一緒に陶芸の森の
    「グルメなやきものたち」を見に行くのも良いかも。
    パブアニューギニアの食器から現代アートのキッチュな
    ものまで出会えますよ。

    コメント by 木綿屋おせん — 2011年9月8日 @ 10:04 PM

この投稿へのコメントの RSS フィード。

最近の記事

カテゴリー

ページの上部へ