2012年 9月 26日

アマゾンの不思議-城郭マニアさんへの返事

9月23日、伊賀上野城・お城会館で『三重の山城ベスト50を歩く』の発刊記念講演会が
開催されました。愛知の山城の時も記念シンポジウムを開催しましたが、
山城シリーズは多くの方に執筆をしていただいているため、
編集担当としては一部の方にしかお出会いしていないことが多く、
また読者の方々も執筆者から直接お話を聞いたりできるため、
こういう機会はこれからも続けていきたいと思っています。
さてタイトルの話に移ります。  
  

アマゾンには早くから『三重の山城ベスト50を歩く』の近刊情報が
入っていたにもかかわらず、本日(25日)現在も、
まだ「一時的に在庫切れ」表示です。
それなのに、すでに星4つのカスタマーレビューが書かれていました。
レビューを書かれた城郭マニアさんからは「是非お勧めしたい」と
お褒めの言葉も書かれており、感謝感激です。
そこで、最後に書かれていた「どうしてアマゾン以外の
ネットで早く買えるのか。発売日前に本が出回っているのか?」
という疑問にお答えすることにします。
 

伊賀上野城上代家老の福井先生

 
まず発売日の件について、当初冒頭に述べた講演会の日を
発行日に設定しようと編者と早くに決めました。
通常は校正のやりとりで遅れるのが常なのですが、
三重部隊は伊賀上野城上代家老の指揮の下、
非常にスムーズに仕事が進み、8月末に仕上がりました。  
  

一般に我々の弱小版元では、発行日を過ぎても
本が仕上がっていないのがよくあることなのですが、
流通の面からすると、通常は本を取次さん(本の卸屋さん)に送って
書店に並ぶのはだいだい1週間後です。
そして配本については、取次さんを通じて、
または常に取引のある書店さんにFAX注文チラシを送り、
その注文により本を送ることができるのです。
8月末に書店注文により本を出荷したので、
書店の店頭には9月8日頃には並びました。
  

そこでアマゾンです。
実は近刊の書誌データは版元ドット・コムに登録すれば、
サンライズのHPに登録されるようなシステムになっていて、
それは同時にアマゾンにも反映されるのです。
ですから城郭マニアさんもアマゾンでいち早くチェックしていただいたのだと思います。 
 

ところが弱小版元の弱みというか、本が出来たにもかかわらず、
アマゾンで購入できるのはたいてい1ヶ月過ぎたくらいからなのです。
たとえば『湖北の観音』は9月7日発行日で
当日ギリギリに出来上がりました。
発売日については、1週間後ということで9月14日と設定しておきました。
でも、アマゾンでは、まだ一時的に在庫切れです。
しかも中古品出品として定価より高い価格で販売されています。

このアマゾンの不思議な現象については岩田書院さんも書いておられますので、
ご興味のある方はお読みください。 

さて城郭マニアさん始め、読者のみなさんへのお願いです。
欲しい本があれば、最寄りの書店さんへ注文してください。
書店さんによっては、配達してくれるところもあるかと思います
。書店さんはお客さまの注文品が在庫切れかどうかを
版元に確認して来られることも多く、ネットよりも親切です。  
  

でもネットのほうが便利だという方はサンライズのHPをご覧いただければ、
サンライズはもちろんのこと、他所8ヶ所から選べるようになっています。
内緒ですが、一番お得なのは版元ドット・コムです。
なぜなら送料は全て無料です。  
  
ネットも嫌い、でも早く欲しいという方は
直接サンライズに電話、FAXでご注文ください。
即日、または翌日発送をしております。
但し、2000円以下の本は送料300円を頂戴いたします。

2012年 3月 25日

私と山城の関わり

今年の秋に『三重の山城ベスト50を歩く』を発刊することになり、
本日は届いたアクセス図の整理をしていました。
私は出版の企画をするときに、いわゆる「なんでも帳」的なノートに
いろいろ思いついたことを書きとめます。
そのノートといえば、手近にあるノートを使うのですが、
さっき引き出しから見つけたA5版ノートの1頁目を見たら、
こんなことを書いていました。  

   1994.3.6 おも城学臨地講座
     長光寺城  講師 長谷川銀蔵
  銀蔵さんと息子さんの説明で瓶割山へ上がる。
  腰のまがったおじいちゃんも来ていた。
  「虎口」という名前を覚えた。古墳もあった。
  平らな地に凸があると専門家はそれが城や屋敷跡とわかるらしい。

     
     

へぇーっ、そうか。このときに初めて「虎口」という言葉を学習したのですね。
確かその半年ほど前に鎌刃城へ登ったのが、
私にとって「山城へ行く」第一歩だったのです。    
     
     
    
当時は中型バイクの免許を取って、休日になると近隣の林道を
テクテク走っていたので、ついでにお城のこともちょっと知りたいなぁ
という感じだったのですが、
まさか山城の本を作る仕事に関わるとは思っていませんでした。

それにしても人間の記憶って結構あいまいなのですが、
何かに書き留めておけば、後々にいろいろと思い出すものですね。

2012年 2月 22日

大坂城×熊本城

遅ればせながら、2月12日にジュンク堂大阪店で開催された中井均先生と加藤理文先生のトークセッションの模様です。 
 
 
遠方でははるばる愛知県からお越しいただいた方や、『大阪城今昔』の著者・志村清先生も来られ、驚くやら感謝するやらの内、両先生のトークセッションが始まりました。
お城少年だったときの話から、小さい頃愛読していたお城雑誌に自分が原稿を書くなんて思っていなかったこと、そして今回の「極める」をシリーズ化することになったいきさつやそれぞれのお城の見どころ、一番好きなお城のことなど、お話は次々に展開しました。 
  

最近話題になっている城跡に樹木が茂っていること、特に数十年前から石垣に桜を植えることにより根が張って、石垣が崩れる問題についてもお話がありましたが、考えてみれば、石垣の上にはかつて櫓や塀が巡らされていたということを、私もこの仕事をするまでは全然知らずに、彦根城の麓の学校に通っていたのです。 

 
加藤先生は熊本城の本を作るにあたり、紙面が限られているから膨大な写真からどれを選ぶかが大変だったということ、中井先生は今現存する大坂城は太閤さんではなく、徳川の城跡であるというお話もありました。 
極めるシリーズは、今後二条城・姫路城・名古屋城・金沢城・江戸城をお二人にご執筆いただきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。 
 
それにしても今回も女性の参加が多く、バレンタインデーの直前ということで、サイン会ではチョコレートのプレゼントもあり、熱気に包まれたトークセッションでした。

2012年 1月 6日

お城本を2本、シリーズにしてくださったお二人

新年おめでとうございます。 
 
    
  
さて、タイトルを見れば「ハハーン」とおわかりの方は、もうお城大好き人。 
そうです。このお二人は中井均・加藤理文両先生。  
    

 
元々、中井先生は『近江の城』を書いていただいた後、国指定史跡になった城跡のことを報告書で終わるのではなく、広く一般読者にも気軽に購入できる本にということで、敏満寺城、上平寺城、鎌刃城の出版を続けてきたとき、「滋賀県の山城の本を作りたいなぁ」とつぶやかれて、
「ホナ、作りましょ」ということで出来たのが『近江の山城ベスト50を歩く』でした。 
    
   

  
で、その本ができるかできないかのとき、また「ポケットサイズの彦根城の案内本を作りたい」とつぶやかれて、出来たのが『彦根城を極める』でした。ちょうど、彦根城築城400年祭が始まる1カ月前に発刊しました。  
    

  
その2年後、『信長の城・秀吉の城』で原稿を書いていただいた加藤先生が愛知県で講演をされることを聞き、本の販売に行ったとき、「静岡の山城なら50城まとめられるよ」とつぶやかれ、「ワア、是非お願いします」ということで、『静岡の山城ベスト50を歩く』がシリーズ化したのでした。    
    

  
そして、極めるシリーズは、彦根城の増刷をどうしようかと思案していたとき、「シリーズにするなら、やっぱり大坂城や」と中井先生。「僕はまず、熊本城」と加藤先生。ということで、彦根城から4年後、めでたく『熊本城を極める』、『大坂城を極める』がシリーズ本となりました。   
    

 
近江の城ばかり扱っていたとき、初めて静岡の城本を作るにあたり、東京ブックフェアで中井先生にご講演いただきましたが、今回は強力お城コンビによるトークセッション第1弾を谷島屋書店浜松本店で開催します。   
    

   
また第2弾は2月にジュンク堂大阪店で開催します。お近くの方は是非ご来場の程を!!

2011年 11月 15日

「大阪城」と「大坂城」、そして旧大阪市立博物館の話

当初の予定から約1カ月遅れで11月末日に『大坂城を極める』を刊行できることとなりました。長らくお待ちいただいた皆様には大変ご迷惑をおかけいたしましたことお詫び申し上げます。 
 
さてタイトルのように、秀吉と家康が建立した城は「大坂城」で、現在のお城は「大阪城」ということは、私も仕事をするうちに知ったことなのですが、本日は「大阪城」のお話です。 
  
今年は「復興大阪城天守閣80周年」というわけで、今私たちが見ている大阪城は昭和6年に大阪市民の寄付によって建てられた天守閣です。昭和3年に議会で決議されるや否や約半年で目標額が集まり、大阪城天守閣と陸軍第4師団司令部庁舎が昭和6年に建てられたのです。 
  
本日11月15日から20日まで、大阪城天守閣の横にある、旧陸軍第4師団司令部庁舎・旧大阪市立博物館が特別公開されています。もうすぐ発刊する『大坂城を極める』にも書かれていますが、実は復興大阪城よりも旧陸軍第4司令部庁舎のほうが、建築費が高かったそうです。私は一度もこの建物の中に入ったことがないのですが、朝日新聞で見る限り、天井やシャンデリア、とてもおしゃれです。恐らく取り壊すなどせずに、有効活用されると思うのですが、入場無料、お時間のある方は是非見学にいかれることをおすすめします。 
 
今NHKの朝ドラ「カーネーション」でコシノアヤコさんがセッセと修業しておられる時って丁度この頃なんですね。本当に昭和の初めから12年頃までの日本は、都会も田舎もめまぐるしく生活様式が変わった時代だったのです。

2011年 9月 1日

織豊期城郭研究会とは?

9月11日(日)、織豊期城郭研究会2011年度彦根研究集会が開催されます。
私は「織豊期城郭研究会」のメンバーの幾人かの方は知っているのですが、
実はいつ発足したとか詳しいことについては、ついぞ知らないままでした。

小一時間前に姉と毎晩のように、夜の会議?
(実は夕食後、ウィスキーを飲みながらのグダ話)をしていた時、
サークルや団体は世代交代するのが難しく、
だいたい10年が区切りかなぁという話をしていていたのですが、
その後「織豊期城郭研究会」についてネット検索したら「主旨説明」を見つけました。
なるほど2002年に10年の区切りということで一旦休会宣言をしたのですか。

あれっ、ちょっと待てよ。休会宣言をした翌年に『京極氏の城・まち・寺』『敏満寺の謎を探る』を発刊していたなあ。
そうか、会は一旦休止した間、成果報告を巷に広めるお手伝いをしていたのが
サンライズだったのかしら?

先ほどの主旨によれば、平成19年に再開し、
今回事務局を若手に変えたというくだり、今回の若手メンバー諸氏が
ちょうど高校や大学の頃にそれらの本に出会ったのかもしれません。

出版業界は年々下降を続けており、まして零細版元は1000冊を売るのに
四苦八苦という現状ですが、どことも難題である
世代交代については少し寄与できたかなぁと思っています。

というわけで、来る9月11日の研究集会には、書籍販売に行きますので、
どうぞよろしくお願い申し上げます。

2011年 8月 29日

静岡のお城本、3冊目です。

「近江」と「遠江」はどうやらご縁がいろいろあるようで、2年前のブログ「近江と遠江」「静岡のお城もおもしろい!!」で書いたことがあるのですが、このほど『戦国時代の静岡の山城』が出来上がりました。
あっ、もちろん「駿河」もしっかとテリトリーです。
「近江」と「駿河」のご縁と言えば、日本一の「琵琶湖」と「富士山」(山梨県も富士山と言われる御仁、申し訳ない。でも関西から見ると、電車から見る風景が脳裏に映り、富士山というと静岡をイメージしてしまうのです)。その昔、琵琶湖の土をセッセと東の国に積んだところ、富士山なったという近江の昔ばなしがあり、本当はきれいな円錐形の山にしようとしたところ、時間切れであと1回分の土が残ったのでテッペンはギザギザになったそうです。ちなみに、そのあと1回分の土は、現在長浜市と米原市の境にある「ひともっこ山」との事。
雑談はこの位にして本題に入ります。
昨年2月に静岡で開催された静岡県考古学会2009年度シンポジウム「静岡県における戦国山城」の内容を元に、講演者が新たに書き起こしたもので、山城ファンにとっては、城郭地図はもちろんのこと、出土遺物の分析など最新情報も掲載されており、城の変遷がよくわかる内容です。
「城取り合戦」で今ある城の形状ではなく、どのように改修されていったかという問題を考古学的検地から解明していこうという意気込みがジンジン伝わってくる本です。
明日、取次発送、書店に並ぶのは9月の第2週初めとなります。しばし、お待ちください。

2011年 8月 14日

浜松との繋がりがまた増えました

数年ぶりに高校の同窓会があり、
一番びっくりしたのは同級生のIさんに出会い、
「わあ、久しぶり」と言ったとたん、
「ホラ、これ持ってるよ」と差し出されたのが
なんと『浜松の城と合戦』だったことです。
彼女が浜松に住んでいることは知っていたのですが、
実は浜松観光ボランティアガイドの副会長をしていて、
ガイドの参考本として活用してもらっているとのことでした。
静岡のお城本は8月末に『戦国時代の静岡の山城』
11月に『静岡の城』を発刊するのですが、
浜松市は今年市制100周年ということで、
各地のお城ではイベントが盛りだくさん。
彼女も忙しくなりそうです。

2010年 10月 25日

『愛知の山城ベスト50を歩く』好調です

精文館書店さんの売上ランキングでなんと5位に!! ありがとうございます。
「愛知の山城の本作れるかな?」と私がふとつぶやいたら、それが2年もしないうちに実現してしまいました。これもひとえに執筆者のみなさまのおかげ、そして城郭探訪好きの読者のみなさまのおかげです。ありがとうございます。
本の企画を立てるとき、「こんな本があれば便利だろうな」と思うこと。私が一番最初に手掛けたのは『近江之中山道道中案内図』でした。これは、まだISBNコードを取得していないときに作った3冊セットの冊子で、未だにコードをつけていませんが、家の前を旅人が往来するのを見て、「こんなガイドブック作ったら便利やね」「ほな、作ろか」という軽いノリで作りました。でも実は軽くはなく、道は3回以上歩いたり、車で走ったりしたし、取材、文献を調べたりしました。
山城シリーズも同じく、旧知の城跡であっても執筆者の方々は、現地へ再調査して書いてくださっています。そうした積み重ねがあってこそ、便利な本が出来ていくのだとつくづく思います。

2010年 10月 6日

連日のイベント終了

10月2日岡崎市で開催したシンポジウム、200名以上のご来場をいただきありがとうございました。
県外からのご参加も多く、盛会でした。愛知城郭研究会、岡崎市教育委員会の皆さまに御礼申し上げます。
翌3日は「鳥居本宿場まつり」。お天気が危ぶまれたものの、4時頃までなんとか持ちこたえました。喫茶、食事処に加え、一般公開の民家も増えました。我が家の前のヴォーリズさんのお家の前は、ひっきりなしに、イベントが行われていました。
普段は静かな中山道ですが、各地から多くの方にお越しいただき、江戸時代の面影のこる町歩きを楽しんでいただきました。 

 

 
さて、次の土曜日は伊吹山の麓、上平寺「戦国のゆうべ」で本の販売をします。

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