環境と人間

滋賀県立大学 環境ブックレット 4
環境と人間 生態学的であることについて

迫田 正美
A5判 80ページ 並製
ISBN978-4-88325-441-5 C1340
奥付の初版発行年月:2011年03月
書店発売日:2011年04月03日
在庫あり
800円+税

内容紹介

「環境と人間」のありうべき関係とは? 現代の生活行為にふさわしい新たな生活景を発見し、創造するために、基本的な論点をいくつか提示する。

目次

1 人間が「自然に」従うことは「自然な」こと
   「無法者たち」の暗黙の規則/フィールドに出て観察しよう
2 環境と自己の知覚
   氷水入りのグラスを右手で持つと、どう感じるか/書物を持って机の前に座ると、どう感じるか
3 環境の知覚と空間
   自分に近いグラスは「これ」、遠いグラスは「あれ」/相手に近いグラスは「それ」でも、相手にとっては「これ」/「それ」も「これ」も共通の何か「不変項」を知覚/「これ」「それ」「ここ」「そこ」は変化する/恋人たちの「星はきれいだね」が表現するもの
4 生態学的知覚論からみた対象の意味
   人間は「地」の上に「図」を見ようとする/「…として見る」という考え方をさらに進めて/アフォーダンス理論の特徴
グラスのカタチとアフォーダンス/アフォーダンスは対象と自己との関係によって決まる/生活空間にあふれるアフォーダンス
5 行為の出来事とその表現
   知覚システム・行為システムとしての生命/行為の図式と環境の意味/行為の出来事/人と行為と環境の構図が絡み合う
環境を知ることは私たち自身を知ること
6 生活景を読む
   日常の経験はすべて生活景によって構成/地理的条件に規定される生活景/産業活動により形成される生活景/水産業などがつくりだす景観/文化的活動がつくる生活景/日常の生活景
7 空中写真から見えるもの
   空中写真と地図情報を手がかりに/草津市志那町の蓮海寺周辺の水面と街路/石垣と出入り口の配置
失われた景観の連続性
8 地図と空中写真を利用して集落の形成過程を探る
   守山市木浜周辺/集落内の空間構造変化/長浜市湖北町尾上周辺/余呉川の治水・改修事業/漁港移転・改修事業/湖岸道路の建設と野田沼の改修/圃場整備事業
9 アフォーダンスの知覚と環境・人間の生態学的関係性の回復
10 おわりに ─浮世絵に描かれた風景から─

前書きなど

 私たちは日常のごく普通の生活を営む際にも、また農業や林業などの労働や産業活動を行う場合にも、何らかの形で周囲の環境と相互的な関係をもたずに暮らすことはできません。
 ここで環境という場合、それはいわゆる自然環境だけを指すのではありません。道路や公園などの都市環境から、食事をする、眠るなど、基本的な生活行為を行う場所も、人間の行為環境としてここでいう環境に含まれます。
 私たちが暮らす環境には、生活行為を行うためのさまざまな意味が見え隠れしています。私たちは知らず知らずのうちにそのような環境の意味を読み取りながら、個々の行為を行っているのです。(本文より)

著者プロフィール

迫田 正美(サコタ マサミ)

1989年 京都大学大学院工学研究科博士課程中退
    滋賀県立短期大学助手
1998年 滋賀県立大学環境科学部講師
□主要論文
「建築における意味と解釈Ⅰ~Ⅴ」日本建築学会大会梗概集、近畿支部報告集
「行為論、場所論としての機能論(1)~(4)」日本建築学会大会梗概集、近畿支部報告集
「『源氏物語』に表現された空間図式に関する研究(1)~(4)」日本建築学会大会梗概集、近畿支部報告集
「琵琶湖湖辺域における集落空間構造の変容過程」『琵琶湖沿岸域の土地利用と景観生態』滋賀県琵琶湖研究所
□翻訳書
『ル・コルビュジエ事典』J.リュカン監修、加藤邦男監訳、中央公論美術出版、2008年

   

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