聞き書き 朽木小川

聞き書き 朽木小川 しこぶちさんと奥山暮らし歳時記

榊 治子 文, 榊 始 写真
A5変 136ページ 並製
ISBN978-4-88325-707-2 C0039
奥付の初版発行年月:2020年12月
書店発売日:2020年12月12日
在庫あり
1600円+税

内容紹介

奈良時代に木材を平城京へ搬出した記録が残る山村、滋賀県高島市朽木小川には、筏流しの神を祀る思子淵(しこぶち)神社への信仰をはじめ、昔ながらの民俗行事が受け継がれてきた。大阪から夫婦二人で移り住んだ著者が、おばあさん、おじいさんによる語り言葉をそのまま用いて、集落の寺事、祝い事、普請、山仕事、麻布作りのことなどをまとめた、学者による記録とはひと味違った民俗誌風フォトエッセイ。「しょうずの座敷の縁側を開けてもらってな、そこで拝んでから松明持って、お酒持って上がるんや。ほんで上からお~いって、怒鳴るんやけど、笑えてくるんや。笑ったらあかんのやけんど笑えるんや」(愛宕参りと「まんどろ」)

目次

出版にあたり 石田敏(元「朽木村史」編集委員長)
1 しこぶちさん
 重要文化財になった朽木小川のしこぶちさん /思子淵神社の神主さん(こうぞんさん) /しこぶちさんのお祭り /こうぞん(神主)餅、ごくもち(御供餅) /ホシの鏡餅
2 講
 講 /一日講・伊勢講 /庚申講 /太師講 /山の口講 /愛宕参りとまんどろ
3 寺事
 「てらこ」 /涅槃会(2月の15日)の団子 /葬式 /葬式団子 /かさもち /お盆と川原仏
4 祝い事
 結婚 /お産 /宮参りとはたき餅
5 学校
 小学校 /中学校
6 普請
 普請 /電気 /小川の道 /奥山渓谷の道 /小川の橋
7 お米作り
 田植え前 /田植え /草取り /稲刈り /脱穀から精米まで
8 山仕事
 山仕事 /炭焼き /雲洞谷の炭焼き /筏流し /一本流し /茅葺 /ホトラ刈り /柴刈り
9 麻布作り
 麻の栽培と緒 /糸つむぎから麻布を織る
10 お餅
 お餅のあれこれ /寒餅 /栃餅 /涅槃会のお餅 /ちまき
朽木小川の歳時記
あとがき

前書きなど

 滋賀県で唯一の村であった朽木村(高島市朽木)。榊が住み始めた当初(2000年末)は人口約2700人。面積165.77㎢の90%以上が山地で占められる中山間地の琵琶湖源流・水源の郷です。夏は涼しく、冬は豪雪にみまわれることもしばしば。特に針畑では標高が高いためもあり、多い年には道の電線をまたぐことができるほど雪が積もっていました。
 「38豪雪」時(1963年・昭和38年)は、完全に道が遮断され、自衛隊のヘリコプターから食料の投下を受けたといいます。現在は雪が10㎝以上積もったら除雪車が出動するため、道が塞がれる心配はありません。日本海側気候地域に分類され、「弁当忘れても傘忘れるな」というほど雨が多い。シトシト降り続く雨は、「朽木しぐれ」と呼ばれます。
 高島市および福井県小浜市と京都府南丹市との県境から流れ出す針畑川は、京都市久多川合で久多川と合流、その後国道367号に沿って流れる大津市の葛川に合流し、安曇川となって、琵琶湖に流れ込みます。安曇川は琵琶湖水域では通水量が一番大きい川だと言われています。
 高島市朽木小川は、この針畑川沿いに点在する、旧朽木村行政区としては一番奥の集落です。中学生になって、朽木市場の学校に通うようになると、小川の子たちは「奥のもん」と言っていじめられた、と聞いたことがあります。でも、小川の人たちは、榊と私もですが、小川は京の都に一番近いところだと思っています。実際、小川から京都市街まで車で1時間もあれば行けます。また、お隣の在所は京都市左京区久多で、小川は高島市の中では一番京都に近い場所です。

著者プロフィール

榊 治子(サカキ ハルコ)

兵庫県養父市出身。関西医科大学付属看護婦学校卒業後40年間、関西医科大学附属病院に勤務。その間、大阪市立大学経済学部卒業。夫・榊始が滋賀県高島市朽木小川に移住後は毎週末大阪から小川に通う。2014年3月末、職を辞し小川に住み始める。

榊 始(サカキ ハジメ)

長崎県出身。2000年、滋賀県高島市朽木小川に山小屋を作り、愛犬ゴン太とともに番人として住み始める。デジカメを毎日首にぶら下げ、シャッターチャンスを狙っている。

   

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