2012年 9月 22日
旧豊郷小学校が有形登録文化財に!!
滋賀県犬上郡豊郷町にあるヴォーリズの設計、
建設資金は近江商人・古川鉄治郎が寄付し、
現在は「けいおん」の聖地である校舎、それが旧豊郷小学校です。
豊郷小学校についての本が2冊ございます。
『豊郷小学校は今』
『あったかいね永遠の学び舎』
ご興味のある方は是非お読みください。
滋賀県犬上郡豊郷町にあるヴォーリズの設計、
建設資金は近江商人・古川鉄治郎が寄付し、
現在は「けいおん」の聖地である校舎、それが旧豊郷小学校です。
豊郷小学校についての本が2冊ございます。
『豊郷小学校は今』
『あったかいね永遠の学び舎』
ご興味のある方は是非お読みください。
確か6月21日だったか、滋賀県立大学の学生が来社した。
環境建築デザイン学科の有志で作っている『雑口罵乱』の広告のお願いだった。
応対した社長はバックナンバーを見て、「これなら図書コードを取って、
販売すれば…」という話をしたらしい。
学生たちが帰った後、私はその本を見て、なんとまあ良く
作りこんだ本だと感心。田んぼのまんなかにある、よくいえば
環境に恵まれているキャンパスで過ごす学生たちが、
刺激を求めて、第一線で活躍している建築家や研究者を大学に招く。
そして大学では普通の講演会だけではなく、ゲストと膝を突き合わせて
まさに「ざっくばらん」にお酒を飲みつつ談話し、その内容をテープに起こして、
1年に一冊の本にしているのである。
概して建築デザイン学科は紙面レイアウトにこだわるが、
版面も整っており、扉の扱いもいい。そして脚注もしっかり調べて書かれている。
講演会後の学生によるレポートもいい。
巻末には卒業制作優秀作品やコンペ受賞作品も掲載されている。
それにしてもこれまでのゲストがすごい!!
建築には素人の私でも著名な何人かは知っているのだから……。
手元にある№4では坂口恭平氏の「都市狩猟採集民のくらし」に
とても興味を覚えた。
早速、書店流通の話を№6の編集長櫻井藍さんに伝えたところ、
実は№6はこれからで、№5が下版間近だというではないか。
では、№5から図書コードをつけようということになり、
表紙と奥付をPDFで送ってもらい、書籍チラシの作成を依頼。
書肆登録データは6月28日に届いたのを即アップしたところ、
7月2日にはアマゾンでの予約も開始。
書籍チラシは7月3日に学生がピックアップした大学生協へ送り、
4日には当社で登録している、大手書店約40店に流したところ、
本日現在15店から注文あり。
棚差しの店は数店で、2桁の注文が6店から来た。
これはもう平積みですよ!!
あっ、バックナンバーは図書コードがないから、
直接注文できるよう告知を作れと云っておいたこと、
又吉重太さんに伝わっているのかしら?
おばさんは、何よりもこれで累積赤字が解消することを
願っています。2万円の広告を出すよりも、
読みたい人に手にとってもらえ、そして買ってもらえること。
それが本の使命ですから。
最後に発行元のDANWASHITSUはこちらで見られます。
近くの湧き井へクレソン摘みに行った後、ムカゴ採りに自転車で出かけたのだが、
昨年ムカゴを採ったところで、アケビを見つけた。
数年前、ここで一度アケビを見たことがあったのだが、昨年は出かけた時期が
晩かったのかお目にかからなかった。
パックリと実が割れていて、もう「早く食べてね」と言っているかのよう。
1個だけ、ツルを引っ張ってようやく採って食べたのだが、
もっと高いところには鈴なりになっている。
これは、脚立に登らないと、とても採れない。
すぐさま家に戻り、車に脚立を積み、剪定鋏を持って、再びアケビの発見地へ!!
お向かいさんには「脚立から落ちんように気をつけいやー」と言われていたから、
そこは慎重に、イバラをかき分け、足場を固めて、「食べてね」と言ってる
アケビさんだけ採ってあげた。
なんせこの辺はサルがしょっちゅう出没しているので、
「サルに盗られぬうちに、私がいただくのだ」という具合。
さあ、アケビはこれくらいにして、ムカゴを採ろうと探したのだが、実はあたり一面の木々にはアケビのツルが巻きついていて、脚立なしでも充分採れるところにもアケビが成っていた。
なあんだ、わざわざ帰らなくても採れたんだ。
収穫物はご近所さんと、中山道を歩いておられた旅人の御夫妻にもおすそ分け。
さて、アケビは実だけでなく皮も食べられると聞いていたので、早速調べてみた。
フライパンで味噌炒め、ひき肉やキノコを詰めて焼いたり、揚げ物にする、アケビ酒にする……。
ウーンいろいろあるのね。お店で買うと150円とか300円とかしていて、
高級料理店で旬の食材として使われているらしい。
さあ、明日は早速アケビ酒とアケビ料理に挑戦だ~。
App storeでの発売中の電子書籍3冊『近江商人に学ぶ』『花々の系譜』『近江戦国の女たち』の各アップデート Ver1.1が無事配信されました。ご購入いただいた皆様、ありがとうございます。
新機能としてUniversal対応したことでiphone、ipadの両方に対応しています。目次のリンクを一部修正いたしました。
また、アップデート時の注意事項といたしまして、しおり、蛍光ペン、前回読んでいた位置がすべて削除されますので、ご注意下さい。
電子書籍の市場が今後も期待されている中、国内スマートフォンの所有者が1,000万人に達する勢いとの報道もあります。現在、弊社ではiOS(apple)のみの対応ですが、今後さらにコンテンツの充実と利用者が増えると期待されるアンドロイド(Google)搭載端末への配信も行っていく予定です。今後ともよろしくおねがいします。
昨年の電子書籍をめぐる騒ぎ(結局は、それに関する通常書籍の形式での出版ラッシュでしかなかったが)を見ていて思ったのは、「この煽っている人たちは、音楽を聴いてないんだろうな」ということだった。だって、一歩先にデジタル配信が主流になった音楽業界では、嘆きの言葉があふれていたのだから。
すでに2009年の年末に出た音楽雑誌では、編集長が編集後記に「とにかく身銭を切って、音楽を買って欲しい。アーティストに還元して欲しい」と書き、その後もミュージシャンがインタビューで「1曲単位の配信ダウンロードが一般化して、アルバムにかけられる予算が減った」と話したりしていた。実際、どこの店舗でもCD売り場のスペースは縮小される一方である。
昨年の年末、高校の同級生数人で飲んだ時、中学3年の息子を持つ一人が苦笑いしながら言った。「息子が音楽の無料ダウンロードの方法、教えて、言いよる」。40歳代前半の父は息子にいいところを見せようとするわけだ。ウェブ上の万引きとなると、道徳的な禁止の敷居はものすごく低くなる。仮に自分が高校生のころ、LPレコードを万引きしていたからといって、その方法を息子に教える親父というのは、そうそういないだろうに。
もう、これで答えは出ているだろうと思わずにはいられないではないか。
漫画関係の本でも同じである。2009年を総括する関係者による座談会での会話は以下のような具合だった。
「しかし、どこもここもウェブコミックサイトを作ってるね」
「雑誌がダメになるとウェブコミックサイトを作るんですけど、いまのところみんな失敗してます。」
「収益は単行本を作ってってことだよね。」
「課金はしてないんでしょ。」
「ほとんどは無料です。アメリカなんかはものすごい量の海賊版がネットで流れてるんですが、このあいだNHKの番組でアメリカのオタクというのが映ってて、みんなマンガ買うんですかって聞いたら、『マンガはネットで見るとタダですから』ってニコニコしながら言ってましたね(笑)。翻訳したものがアメリカでも中国でも流れてる。」
これも状況はずっと変わらない。「過渡期だから」といった言い訳が通じる期間はすでに過ぎているように思うが、違うのか。
最近、講談社が漫画の電子書籍に力を入れているというが、飽和状態とというより数が多すぎる漫画家と漫画誌の避難所でしかないだろう。ケータイコミックの頃から、人気が出たら通常書籍の単行本化というパターンだし。私はこれに文句はない。ブログが人気でたから単行本化というルートにも文句はない。多くの書き手は、書籍という形になることを望んでいる。
それもさらにデジタル配信が一般的になると、それだけで完了してしまい、作者にとっては酷い状態になる。
アメリカでは、新人バンドが音楽共有サイトで一時人気になったのはいいが、すぐ忘れ去られて、CD化できなかった(ミュージシャン本人は、最終的にはCDという実体のある形になることを望んでいる)といった話が音楽雑誌に載っていた。日本でもyoutubeでライブ映像が話題になったバンドのCDが発売されたりしているが、数年後には同様のバンドでも、「さぁCD化という頃には過去の人」といったことになるのだろう。
3月半ばに出た山田順著『出版大崩壊―電子書籍の罠―』(文春新書)は、電子出版ビジネスに携わってきた著者が数々の実体験をもとに電子書籍の惨状を報告した本である。
この著者の山田さん、父親は芥川賞・直木賞の候補に計8回なったことのある私小説家・津田信(完全に今では忘れ去られた作家で、私も知らない)だそうで、さすがその息子というべきか、自身の見込み違いも赤裸々に書いている。失礼なことだが、何カ所かで大爆笑させてもらった(よい私小説は滑稽なものだ)。
繰り返すが、発展途上の分野だから成功例が少ないというわけではなく、すでにアメリカの出版業界や新聞業界、レコード業界、ゲーム業界が産業全体として縮小した=その後を追う必要はないということで結論は出ている。デジタル配信を行えば、質を維持したままでの再生産が不可能になるということだ。
ロサンゼルス在住の自称IT企業家に振り回された失敗談を書いた第9章「ビジネスとしての電子出版」には、「IT側人間はコンテンツに愛情が足りない」という項がある。愛情が足りないというより、わかっていないのだと思う。
去年、テレビ東京の番組「カンブリア宮殿」に出ていたソフトバンクの孫正義にしても、その発言を聞くとコンテンツというものがわかっていない。たまたまつけたらやっていたので途中から見ただけで、正確ではないかもしれないが、「出版社は、とにかく早く電子書籍に参入すべき」といったことを言っていたはずだ。
彼の頭の中には、携帯市場のような限られたパイをめぐる分捕り合戦のイメージしかないのだろうが、コンテンツ(こんな大げさな言葉を使うのもアホらしい。単に本や音楽)とはそういうものではない。遅れて参入しようとかまわないのである。少量多品種でどんどん更新されていくものだから。
会社名の連呼とバナナの叩き売り式の営業は、どこの出版社もやってはいない。韓国の芸能プロダクションは新人育成に5年かけるだろうし、ハリーポッターシリーズ日本語版の出版社の名前を知っている人などそれほどいはしない。
再び話を『出版大崩壊』に戻すと、一面的にすぎるので反論したい部分もある。
まず、第4章「岐路に立つ出版界」で、「出版業界は総崩れ」と言っている点。
著者自身、勤めていた光文社が業績悪化、希望退職したわけだが、そうした業界大手の斜陽化は、他業種大手や世代間格差が問題になっている大学で起こっていることと同じなのではないのか。ほとんどが中小企業で、高給取りでもない出版社の社員は、彼らの問題と自分たちの問題を同じと考える必要があるのだろうか。
本書の中にも「(新刊書の刊行点数は)1989年には約3万8000点だった。それが、2008年には約7万6000点と倍増」と書かれている。書籍は供給過多なのだから、大手が最盛期のままでいられるわけはないだろう。
二つ目は、これも大手出版社社員だった著者だからであろう、自費出版に対する偏見。大手出版社に相手にされなかった三流品の原稿=自費出版という形しか著者の念頭にはないようなのだが、明らかに認識不足だろう。自費出版の多くは、対象地域なり対象読者層が限定されているために、読者数が採算ラインに達しないことを著者自身が認識しているから製作費を出す、という構図で成り立っている。
ついでにいうと、自費出版業界にいる者は、より多くの人にあなたの本が届く(かもしれない)という電子書籍が振りまく幻想には、文芸社の商法でほとほとこりているはずだ。
4/4よりアルセ坂本(平和堂坂本店)にて日吉山王祭写真展が開催されます。
昨年に引き続き「近江の祭礼行事① 日吉山王祭」著者である山口幸次さんが撮影された迫力ある写真が並びます。
日吉山王祭の全貌を知るには地元の人でも七年はかかるといわれている山王祭。
それほど様々な行事が複雑に入り組み地元のひとですら知らない行事もあるといいます。
今回の写真展で少しでも祭りの流れがわかれば、
実際に見る日吉山王祭がもっと面白くなるのではないでしょうか?
ちなみに3F「ABC坂本店」さんでは弊社書籍
好評発売中です。
会期:平成23年4/4~4/17(ただし4/5は休業日)
時間:午前10:00~午後8:00
場所:アルセ坂本店2F (平和堂坂本店) yahoo地図
著者の山口さん、大変お忙しい方ですが、出来るだけ会場にいるとおっしゃってくださいました。
本当に魅力的な方です。もし会えたなら、いろいろお話を聞かせてくださるはずです。
皆様のお越しをお待ちしております。
昨年10月に滋賀県、そして1月には愛媛県で開催された白洲正子生誕100年記念の展覧会が世田谷美術館で開催されます。「白洲正子 神と仏、自然への祈り」。会期は5月8日(日)までです。
搬入作業の最中に大地震に見舞われましたが、予定通り開催されるとのこと。幾度もの戦火をくぐり抜け守られてきた尊像や書画が、今回の大震災で悲しみと不安の日々を過ごす人々の心を和らげてくれることと思います。
もうひとつの展覧会は和歌山県立近代美術館で4月17日(日)まで開催される<版画の「アナ」>‐ガリ版がつなぐ孔版画の歴史。
和歌山市で謄写印刷工房を営んでいた清水武次郎の独創的な孔版画をを中心にシルクスクリーン、現代版画を紹介されます。
サンライズ出版の創業は昭和5年、青年団で謄写印刷を覚えた岩根豊秀が「サンライズスタヂオ」という印刷工房を興し、近隣の学校へ謄写版の講習会と印刷材料の販売をしながら、孔版画を制作していました。清水は教員のときに謄写版に出会い、工房を立ち上げたとのこと、同時代に作品を作っていたようです。
両展覧会では、弊社の関連本を各ミュージアムショップでも展示、販売しております。
3月15日、彦根市の記者クラブで『彦根城の諸研究』のプレス発表をしました。今回の本は彦根市出身の海津榮太郎さんが長年彦根城の研究をされており、その論考を1冊の本にまとめたものです。
海津さんは『近江佐和山城・彦根城』にも原稿を書いていただいているのですが、私は全く面識はありませんでした。しかも構成をご覧いただいたものの、出来あがった本を手にとってもらえないまま、お亡くなりになったのです。
城郭研究の中井均さんがまだ「城好き少年」だった頃、海津さんにお城のことをいろいろ教えてもらったということは聞いていたものの、本当に仔細に彦根城のことを調べておられ、その原稿は多岐にわたっていました。
ところが、この原稿をそのまま本にするというのは、今流行りの「自炊」であるため、ある程度編集するべきだということになり、その労苦を一手にこきうけていただいたのが、30数年来のおつきあいのある森山英一さんでした。
海津さん同様、某大な資料をお持ちの森山さんは再度原本に当たり、細かくチェックをしていただき、初めて読まれる方にもわかりやすいようにと補註をいれて、著作集が出来上がりました。記者発表では、海津さんの人となりから研究の内容までくわしく説明していただきました。
お城関連の会は全国にたくさんあり、機関誌も種々でていますが、一般読者の目に触れることは少なく、また何十年も前に発行されたものを手にすることはなかなかありません。そういった意味で今回の本は彦根城に関する資料として、是非残しておかなければならないものでした。
海津さんは彦根高商を卒業後、尼崎、大阪に住んでおられたものの、彦根へ何度も来られては、図書館で一日中史料を調べておられたと聞きます。ひとつひとつ彦根城の謎ときをしている本で、お城を好きな方は必携です。
東浅井郡びわ町には、かつて「早崎内湖」と呼ばれた入江がありました。琵琶湖でも有数の内湖で、91・9haもの面積を有し、固有種ゲンゴロウブナの琵琶湖最大の産卵場でもありました。1963~70年に全面干拓された後は、長らく水田稲作が行われてきました。
滋賀県では、地元の協力のもと、2001年11月より干拓地の一部17haを借り上げ、周年湛水し、水質および生物相の変化を調査するとともに、内湖再生手法の検討を現在行っています。最深部でも数十cmと水深は極めて浅いものの、常時湛水された状態で2年以上が経過しました。湖北地域振興局田園整備課が2年間行った調査から、生物相の変遷が明らかになってきました。
植物では湛水後、半年が経過した2002年春には、水田雑草、特に乾性の雑草が優占しましたが、2003年春にはヨシ等湿地性植物や湿性雑草が優占する群落へと遷移が進みました。またタコノアシ、シャジクモ等の貴重植物がのべ9種も出現しました。これは干拓地で眠っていた埋土種子や胞子等が発芽したものと考えられます。
飛翔力の大きい鳥類では、湛水後すぐにサギ類が飛来しました。湛水後2年を経過した現在、のべ59種が確認され、湖北野鳥センター(2003)が調査した湖北町尾上近傍の琵琶湖岸で出現する種数(139種)の半数近くに上りました。ただ、サギ科では8種のうち7種が確認された一方、ガンカモ科、シギ科、チドリ科、カモメ科、ワシタカ科、ホオジロ科、ヒタキ科の種数は琵琶湖岸に比して著しく少なく、その理由として干拓地には深い水域や発達した湖岸、水辺林等の環境要素が欠けていることが考えられます。
魚類ではのべ13種が確認されましたが、ほとんどが周辺水路との共通種でした。周辺水路に生息する魚種の一部が侵入、生息していたと考えられますが、特にコイ科魚類の種数が周辺水路より少なく、放流種と考えられるニゴロブナ以外、琵琶湖固有種は出現しませんでした。固有魚種には、生活史の中で琵琶湖と内湖、水路や水田を往来するものが多く、琵琶湖と水系で繋がっていないため、干拓地に入り込めなかったのだと考えられます。
このように早崎干拓地では、湛水後、水辺に生息する鳥類が飛来し、徐々に湿地性植物や水辺植物への遷移が進みつつあります。植物相の遷移の速さは、埋土種子やヨシ等の地下茎の存在が大きいと考えられますが、鳥類による種子等の運搬も寄与している可能性があります。早崎干拓地は、地域本来の植物相、鳥類相などの生物多様性回復のポテンシャルが極めて高い地域だといえるでしょう。しかし魚類相は貧弱なままで、現状では在来魚の種数増加は望めません。
漁獲量の激減などに現れているように、琵琶湖の生物多様性は今、危機的な状況にあります。琵琶湖の生物多様性を保全するためには、内湖の復元など、劣化した湿地環境を積極的に回復する施策が必要です。これまでの調査結果は、早崎干拓地が内湖復元の有力な候補地であることを示しています。ただ現状を維持しても、琵琶湖本来の野生動物が生息可能な環境になるわけではありません。今後、内湖を復元するにあたっては、水辺林や発達した湖岸、一定の水深、琵琶湖との水系の連続性、季節的な水位変動などの環境要素を加える方策を検討する必要があります。
*写真:湛水した早崎干拓地の一部。(南北に走る湖岸道路の東側、2003年8月撮影)
滋賀県琵琶湖研究所 総括研究員 西野麻知子