水環境調査で失敗しないために

滋賀県立大学環境ブックレット 9
水環境調査で失敗しないために 琵琶湖環境の復元と再生に向けて

三田村 緒佐武
A5判 108ページ 並製
ISBN978-4-88325-727-0 C0340
奥付の初版発行年月:2021年05月
書店発売日:2021年06月15日
在庫あり
1000円+税

内容紹介

環境調査の勘違いと過ちは誰もが陥る。本書を読めば、正しい水環境調査をあらゆる水域で実践することができ、望ましい水環境に修復・保全する思考に役立つ。

目次

1 琵琶湖水系を理解するために
2 環境調査の心得
3 透明度の測定で陥る勘違い
4 水温の測定で陥る勘違い
5 電気伝導度の測定で陥る勘違い
6 pH の測定で陥る勘違い
7 溶存酸素の測定で陥る勘違い
8 栄養塩の測定で陥る勘違い
9 COD 測定で陥る勘違い
10 正しい環境調査に向けて
11 琵琶湖を再生させるために

前書きなど

琵琶湖水系を理解するために

 陸水は、湖沼、河川、湿地、地下水、雨水などの自然水域と、上下水、田畑の用水、公園維持用水、工業・生活排水などの人造水系と広範である。なお、湖沼は、淡水湖と塩湖と汽水湖に分類されている。淡水湖と塩湖は、海水の影響をほぼ受けない陸域内にある湖である。湖水1L中に含まれる塩が0.5g以下の湖を淡水湖、0.5g以上の湖を塩湖とすることが多い。汽水湖は、海の沿岸域の一部が砂州などによって切り離された水域で、陸水と海水の双方の影響がある湖である。汽水湖は、川の流量や海の潮汐力などによって陸水と海水が混合する。
 環境学習を支える基礎分野が広いため、対象環境の総体を診る視点を失い、勘違いして調査することが少なくない。実践結果を安易に発信すると、この情報を受ける者がより良い環境を創造できなくなる。不確かな知識によって調査するときでも、しばし立ちとどまって、測定意義と測定方法を把握したのちに、実践に移ることが求められる。
 そのとき、環境調査の目的と調査方法を参加者全員が議論すると勘違いと間違いを少なくできる。環境学を学ぶ目的は、現環境の調査から、自然環境と人為改変環境の違いを理解するとともに、万物が望む環境を創造することにある。そして、生活負荷が環境を悪化させたときは、これを修復して望ましい環境に再生させる環境賢人に進化するための調査・学習活動であるとしたい。さらに、環境学習の最終目標を、望ましい自然を現世代が享受するだけでなく、次世代に継承するための活動としたい。
 琵琶湖を修復して再生させるためには、琵琶湖生態系とその集水域生態系を正確に理解することが基本である。そのために、勘違いと間違いに陥ることなく、琵琶湖環境の現状を正しく調査しなければならない。本書は、閉鎖的な止水系の湖沼と開放的な流水系の河川の環境調査で生じる勘違いと間違いの原因を、琵琶湖水系の湖沼と河川を例として環境調査の基本項目で解説する。

著者プロフィール

三田村 緒佐武(ミタムラ オサム)

1946年、琵琶湖南湖のほとりで生まれる。1972年、名古屋大学大学
院博士課程中退、2012年、滋賀県立大学退職。専門は陸水学、環境
学。著書に『新編 湖沼調査法 第2版』(講談社)などがある。

   

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